オンライン教育で小学校が変わる!COVID-19がもたらした改革

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新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、今春は全国の小学校が休校や自主学習を余儀なくされました。

その間、オンライン教育が検討されるなど授業のあり方が問われています。

小学校のオンライン教育は、はたしてコロナウイルスに打ち勝つ救世主となれるのでしょうか?

オンライン教育は新型コロナウイルスが感染拡大する前から進められていた?

「子どもたちの生きる力を育む」

文部科学省が提唱する新学習指導要領の基本的な考え方です。

生徒自らが課題を見つけて、それを解決できる力が身につけられる教育を推進しようというのが狙い。

そのために小学校の授業自体も見直しを迫られています。

つまり、一人ひとりの個性や成長スピード、あるいは能力にあった教育スタイルへと切り替えていくことが個々の生徒の潜在能力を引き出すことにつながるわけです。

その可能性を広げるのがオンライン教育といわれています。

GIGAスクール構想

昨年12月、文部科学省は「GIGAスクール構想」を発表しました。

たとえば、小中学校の生徒に1人1台のPCを配備したり、高速ネットワーク環境を完備したり。

いわばICT(情報通信技術)を生かした教育を推進しようというものです。

これに先駆けて、平成30年には全国の6都市において、「遠隔教育システム導入実証研究事業」という名目のもと、小学生のオンライン授業の実験がすでに行われていました。

生徒数が少ない過疎地域や閉校の危機にさらされている小学校では、なかなか思うような授業が進められない問題も露呈しています。

そんな地域間格差をなくすためにも、小学校でのオンライン教育は時代のニーズに合った教育スタイルといっても過言ではありません。

なぜ浸透しない?オンライン教育の難しさとコロナウイルス禍での応急処置

とはいえ、本格的なオンライン教育を導入するには、まだまだクリアしなければならない課題が残されているのも事実です。

思ったほどにはオンライン教育が浸透していない問題点を掘り下げてみました。

問題点1:教育の質の問題

学校側いわば先生にとっては、オンライン教育を行うにあたってどの程度までの授業内容を提供できるのかということです。

コロナ禍での学習の遅れに対応してきたケースはさまざま。

簡単な方法としては、学校のWebサイトに学習ドリルやプリントなどをデジタル教材としてアップし、生徒側にダウンロードしてもらう形式。

どちらかといえば、自主性に任せる形になりますので、生徒の学習意欲によっては学力差が生まれやすくなります。

一方で、ライブ形式のオンライン授業を行うケースでは、先生側にスキルが求められることも。

双方向型では先生の仕切り力が求められます。大人数のクラスでは発言できない生徒が出てくることも想定されるでしょう。

逆に一方的な動画配信だと、集中力を切らしてしまう生徒もでてくるかもしれません。

オンライン教育に期待するがゆえの難しさはあるようです。

問題点2:費用負担の問題

もう一つは、学校側の費用負担の問題。

オンライン教育を行うためは通信環境などの設備を整えなければなりません。

自治体からの支援補助はあるものの、それでも学校側で負担する部分を考慮すると二の足を踏んでしまう―そんな事情も影響しているようです。

オンライン教育で成果を上げる秘訣―コロナウイルス禍でも「学びを止めない」姿勢

そんな中、オンライン教育を通じて、子どもの「知りたい」「学びたい」という好奇心をくすぐる取り組みを積極的に行っている小学校もあります。

実際のところ、教室内などみんなの前ではなかなか思っていることを言えない子どもが、ネット上では積極的な発言ができるという事例もあるようです。

オンライン教育で成果を上げている小学校の特徴として、先生と生徒あるいは生徒同士とのコミュニケーションが上手にとれていることが挙げられます。

そのために活用されているのがデジタルツールやデジタルプラットフォームなのです。

まなびポケット

たとえば全国400校の学校で利用されている「まなびポケット」。

まなびポケット

生徒一人にひとつのIDが割り当てられていて、好きなデジタル教材やコンテンツにアクセスすることで自由に学びを深めることができます。

コンテンツによっては、生徒同士がリアルタイムで画面を共有できたりするので、お互いのノートを見比べて意見をフィードバックしたり、近況を報告しあったりといった情報発信も可能となります。

さらに、「まなびポケット」は教職員も画面を共有することができるので、生徒一人ひとりの学習状況を見ながら、どの問題でつまづいているのかが一目で分かります。

先生にとっても学習指導に役立てられるというメリットがあるわけです。

このことが意味するものとは…

つながりを断ち切らないという姿勢があれば、コロナウイルスという逆風が吹いても学校教育は成り立つことを証明してくれています。

【まとめ】オンライン教育がコロナウイルスのハンデを乗り越えるための教育スタイル

オンラインであれオフラインであれ、学習は自主性を促すということが前提となります。

ただ、一人独学で学習を進めるというのも小学生にとってはつらくてハードルが高いものです。

人と比べることはしなくてもいい。

でも、友だち同士で学びを共有しあえる環境は、子どもの成長のためには必要です。

人と人との温もりや交流が途絶えないオンライン教育であれば、そんな環境をつくることも可能になります。

コロナウイルスという予期せぬ事態は、学校教育に大切なものを教えてくれるきっかけになったのかもしれません。

参考

 

○「小学校のオンライン教育」やり方・課題も様々

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakanokaori/20200511-00177301/

○学校がなくても子どもたちが進んで学び続ける、7つの理由

https://edtechzine.jp/article/detail/3670

○少子化で「みんな同じ教育」を続ける問題点

https://toyokeizai.net/articles/-/362273

○文部科学省 新学習指導要領スタート 生きる力

https://toyokeizai.net/articles/-/362273