親子でフィットネス!家族の絆を深める運動には何がある?

親子でフィットネスをすることは、家族の絆を作る観点から考えても、非常に良いことです。ともすれば親と子のコミュニケーションは不足しがちな現代において、同じ体験の共有を通じて、将来に渡って続く良い関係性の構築を望めるでしょう。

さらに、親にとっても子にとっても、フィットネスそのものによる健康の増進作用が見込めます。運動不足は現代人にとっての慢性的な課題です。これを積極的に解消することによって、健康ではつらつとした親子関係が生まれます。

では、どういったフィットネスをやっていくといいのでしょうか。運動で大切なのは習慣化です。たとえ月2回であろうとも、計画的にフィットネスをする習慣化ができていれば、どんなに小さなことでも積み重ねとなって効果を発揮します。

一方で、過大な負荷をかけるフィットネスは避けましょう。親にも子にも心身に悪影響を及ぼし、良好な運動体験の構築を妨げます。つらさや悲しさや気まずさが思い出として残ると、せっかくの親子のつながりにも良くない傷跡になってしまうかもしれません。

この記事では、年代や能力の制限を受けずに誰もが可能であり、なおかつ親子関係を深めるのにおすすめの運動について、詳しく解説します。

親子でフィットネスしたら何が変わるのか

親子でのフィットネスに取り組むことは、生物学的にも心理学的にも、とても良い選択です。親子が同じ時間、同じ運動を積極的に実施すれば、体だけでなく心の隅々にまで変化が表れていきます。

そうした親子フィットネスの効能について、詳しく見ていきましょう。

親子の絆は共通の体験を通じて深まっていく

NTTコミュニケーションズが、2013年に全国の男女を対象とした調査を行いました。「両親への関心と親子関係に関する調査」と題されたその調査によって、親子のコミュニケーションが与える家族関係への良好な効果が確認されています。

それは、親子が親の青春時代の話を共有すると、親子のコミュニケーションを円滑にするというものです。さらには、子ども自身が覚えていないような小さいころの思い出を話し合うことも、親子の絆を深めているとされました。

こうした思い出の共有体験には、ビデオやDVDなどの映像媒体を使用することも有効に働きます。親もまた自分のような成長を経て今に至ったという気づきを与えることで、子どもは親への信頼を深める結果につながります。

こうした体験は、子どもにとってのみならず、親にとっても有益な結果をもたらすでしょう。親からしてみれば、自分にも子どもだった時代があった事実の掘り起こしにつながり、平等で公平な親子関係が構築されるためです。

ともすれば、人は想像力を欠如させ、互いの立場のみを押し付けてしまいがちです。一度生じた対立関係は、時が経つほどに尾を引き、修復を困難にしていきます。そういった状況を避けるためにも、お互いが歩み寄れる場を意識的に用意するのは有用です。

親子の絆にとって重要なアタッチメント(愛着行動)

生物学の理論として、親子の絆を心身両面から育むアタッチメント(愛着行動)と呼ばれるものがあります。

ほ乳類の赤子は独力では生きていけません。だからこそ、親は子どもを守り、清潔を保持し、食事を与えていきます。こうした養育の活動は、親と子の関係を明確に示す内容となります。

こうした状況において、子どもは親を庇護者として認識し、引き続き守ってもらえるように行動を起こすのが、アタッチメント(愛着行動)と呼ばれる現象です。

しかし、それは単なる打算のもとで行われているわけではありません。むしろ親子が愛情の存在を知覚し、絆を深めるのを相互に認め合って、それぞれの存在の大切さを実感します。

かつての世界には、母親が小さい子どもを育てないと発達に遅れが出るという3才児神話がありました。また、母親は生まれながらに子育ての技術を有しているという母性愛神話も存在していました。今では、いずれも科学的に否定されています。

父親もまた親としての役目を果たし、子どもと関係を構築するのは可能です。それとともに、育った子どもとの関係が充分でなかったとしても、改めてお互いを認めあって親子の絆を深めることは可能だとわかっています。

親子でフィットネスをするおすすめはプールでスイミング

親子が関係性を作るにあたって、特に推奨される選択がフィットネスです。運動不足を解消し、肉体を行使して体験を脳に刻むことで、親も子も強く互いの存在を脳で意識します。

そうした親子関係の構築を図るにあたって、科学的見地からもおすすめできる運動があります。それはプールでのスイミング(水泳)です。スイミングは効果的なフィットネスを実施しつつ、親子の間に良質な絆を提供します。どうしてそのような効果が得られるかという点について、詳しく見ていきましょう。

スイミング(水泳)がもたらす劇的なフィットネス効果

フィットネスの種類は、スイミング(水泳)のほかにも多くが想定できます。ウォーキング(徒歩)やジョギング(走行)は代表的な例でしょう。しかし、これらはいずれも膝への負担が大きく、関節へのダメージが大きいデメリットがあります。

このような欠点は、骨が未発達な子どもにとっては切実な問題であり、過度の負担が正常な成長を妨げるリスクを有しています。また、単純に加減を知らない活動によって、大きな怪我を負う可能性も考慮したほうがいいでしょう。

リスクは子どものものだけではありません。激しい運動は、青年期を超えて壮年期に入った大人にとっても、思わぬアクシデントのもとになりかねないものです。

そういった不安を解決してくれるのが、スイミングです。水中は浮力が働くため、骨や関節への負担が軽減されます。同時に、水の抵抗が自然に与えられ、全身への適度な負荷となります。この働きによって、バランスの良いフィットネスの実施が可能です。

水中での活動は、泳ぐだけでなく歩くだけでも効果があります。無理に体力を消耗せずとも、ただ子どもと一緒に足のつくところで歩いていれば、安全面でも力強いと言えるでしょう。こうした水中運動は、陸上での同様の運動に比べて高い効果を得られます。

全身運動で現代人の肉体をシェイプアップ

水中での運動は有酸素運動となり、無酸素運動よりも多くのエネルギーを消費します。エネルギーの消費は全身のフィットネスにつながり、親も子どもも、年齢の別なく無理のない健康の増進に取り組めます。

水の抵抗、水圧、水の重みは、重力や過負荷よりも優しい存在です。筋肉への適切な負荷と骨への優しさは、肉体が未成熟な子どもにとっても、運動不足を自覚している大人にとっても、実に望ましい環境となるでしょう。

ただ一方において、昨今におけるスイミングの課題として、その場所を確保するのに料金を支払う必要がある点を挙げねばなりません。集合住宅を住居とする核家族の多さを考えると、自宅で泳げる環境を用意するのも現実的とは言えないでしょう。

であれば、会員制のプールやスポーツジムなどは、よほど高額でない限りは必要な出費と割り切るのも大切です。水泳はやめて余計な健康器具を購入したとしても、その効果が期待どおりに上がるとは限らず、親子で共通の体験をする目的にもそぐいません。

また、そのほかの習い事をするにしても、やはり親子で同時にできることは少ないのが現実です。たとえ何かを選べたとしても、水泳ほどシンプルで、かつ低リスクなものは多く存在しないと考えられるでしょう。

総合して考えたとき、人であふれ返っていない、充分に活動範囲が取れる遊泳の場を確保する選択は、結果として経済的ですらあるといえます。

親子スイミングは親から子に水への親しみと怖さを教える絶好の機会

スイミングをする際、人間なら気をつけなければならないのが、溺れることです。これは大人にも子どもにも等しく降りかかる命の危険です。

しかしながら、親子が同じ場で水泳を行うことで、お互いが水の危険性を知覚し、万一の場合には助けを呼べます。加えて、親が常にそばにいてくれることで、子どもはその存在を知覚するでしょう。頼りになる存在としての親の存在感を示すことは、良質な親子関係の醸成に一役買うはずです。

水への恐れは、人生経験を積んできた大人よりは、まだ知らないことが多い子どものほうに多く存在する傾向にあります。

子どもがなぜ水を怖がるのかというと、その物体がいったい何なのか、よくわからないからです。よくわからないものは人間や他の目に見える物質と違って、耳や口や鼻から体内に侵入してこようとします。息ができず、死ぬというわけがわからない恐怖に心を満たされます。

親子でのスイミング体験は、これこそが水の怖さであると、親が直接教える良い機会です。親にとっては、水は親しむべき存在だとわかっています。人間の大部分は水であり、生命は水から生まれてきたことを学習や経験で理解しているからこそ、子どもと向き合って伝授できるでしょう。

加えて、親が近くにいる安心感は、子どもに水との適切な距離感のとり方を学ばせる、何よりの手助けになるとも言えます。頼れる人がそばにいる、何かあっても助けてくれるという安心感は、子どもも大人も目に見えない不安から救い出し、恐ろしいパニックから解放してくれます。

親子のフィットネスで未来に続く思い出と体力づくりを

親子が思い出を共有することにより、未来まで続く良好な関係の構築が望めます。これらの思い出が積み重なっていって、親と子どもの絆はより強固なものとして成長していくでしょう。

そのための共通体験としてフィットネスを選ぶことは、健康な家族の人生をも引き寄せてくれます。とりわけスイミングで全身の有酸素運動を実施すれば、体力が衰えた大人も、肉体や骨が未成熟な子どもも、安全にフィットネスに励めます。

より効果的な取り組みとして、親子でスイミングに取り組んでいく中で、水が人生になくてはならないものであると教えていきましょう。同時に、そのように大切なものが、時には命を奪うことにもなりかねないと伝えていきましょう。

運動という体と脳とを使用する体験を通じて、親が保護者として頼れる姿を見せることは、子どもがその存在を頼れるものとみなすきっかけになりえます。その一方で、親は子がいかに大切な存在であるかを再認識できるでしょう。

このようにして相互の意識を確認しあうことで、親子の間には対等で優しさに満ちた関係が自然と育っていくのです。

【参考資料】

■親子の思い出の共有について
親子で思い出を共有すると、家族の絆が強くなる…NTTコミュニケーションズ調べ
https://resemom.jp/article/2013/10/01/15401.html

■アタッチメント(愛着行動)について
ほ乳類愛着行動の神経機構 – 親和性社会行動研究チーム
http://asb.brain.riken.jp/research3_j.html

■水泳の効果について
ジムのプールでのダイエットは女性におすすめ! そのワケと4つの効果
https://hb-web.jp/feature/p5985/

■水の怖さを教えつつ寄り添う方法
子どもの「水が怖い!」をお風呂で克服するコツ
https://iko-yo.net/articles/347